ほら、笑って笑って


走ったわけじゃないのに、まだ鼓動が早い。



隼人さんがあの店に来る。
そう聞いてから心臓が早鐘を打ち続け、なかなか鎮まらない。






「…会いたかったな。」


静かな空間に、ぽつりと本音を呟く。




でも、どう考えても報われない想いだし、好きになってはいけない人だ。


私の気持ちを聞かされても、隼人さんだって迷惑だろう。






〜〜♪


ぼんやり空を見上げていたら、
バッグの中の携帯から着信音が聞こえた。



表示されているのは知らない番号で、どうしようかと悩んでしまう。


だけど、なかなか切れずに鳴り続けるから、渋々通話ボタンを押した。



< 102 / 304 >

この作品をシェア

pagetop