ほら、笑って笑って
走ったわけじゃないのに、まだ鼓動が早い。
隼人さんがあの店に来る。
そう聞いてから心臓が早鐘を打ち続け、なかなか鎮まらない。
「…会いたかったな。」
静かな空間に、ぽつりと本音を呟く。
でも、どう考えても報われない想いだし、好きになってはいけない人だ。
私の気持ちを聞かされても、隼人さんだって迷惑だろう。
〜〜♪
ぼんやり空を見上げていたら、
バッグの中の携帯から着信音が聞こえた。
表示されているのは知らない番号で、どうしようかと悩んでしまう。
だけど、なかなか切れずに鳴り続けるから、渋々通話ボタンを押した。