ほら、笑って笑って
「……」
隼人さん。
お願いだから、そんなに見つめないで。
その熱い眼差しで、ずっと目が離せなかったなんて言われたら。
私、変な期待をしてしまう。
何も答えられないまま、じっと隼人さんを見つめる。
「あの時、『ナンパだと思って』って言ったのは、かなり本心なんだ。」
「…え?」
嘘…でしょ?
「優衣ちゃんを見ているだけで、ドキドキした。久しぶりに、ずっと撮り続けたいと思った。
だから、声をかけずにはいられなかったんだ。まぁ、結果的には駄目だったわけだけど。」
「…あの、隼人さん。」
「ごめん、突然こんな事言って。驚くよな、確かに。だけど、まさか義理の兄に完敗してたとか、あの時はかなりショックでさ…写真の事を伝えるのすっかり頭から抜け落ちて。」
隼人さんは私から視線を逸らし、真っ直ぐ前を見て困った様に微笑む。
「本当はあの時伝えるつもりだった。迷惑じゃなければ、沢山撮った写真を個展に出品させて欲しいって事と、この先ずっと……撮らせて欲しいって事。」