ほら、笑って笑って
「優衣ちゃんこれ、見てくれる?」
「え?あ、はい!」
私の手元には、さっきまで隼人さんが見ていたフォトブック。
開いたページには
あの日の私がいた。
あの公園で、携帯を見つめながら思い悩む私。
携帯を耳に当て緊張している私。
とても辛そうな顔で常務と会話をしている私。
噴水の周りで楽しそうに遊ぶ親子をぼーっと見ている私。
それから、泣いている私。
全部…私。
こんなに沢山撮られていたなんて、知らなかった。
全然気がつかなかった。
沢山…本当に沢山あって。
一枚一枚は写真で静止画のはずなのに、
ページをめくっていくと、まるであの日の出来事が全て写し出されているようだった。
これだけで、物語になっているような、そんな感じ。