ほら、笑って笑って
「ありがとう、もう十分。」
私を抱きしめたまま、吐息まじりに囁いた。
「俺も、優衣ちゃんが気になって気になって仕方なかった。」
甘い甘い、隼人さんの声。
服越しでも伝わるお互いの鼓動。
――ドキドキ、クラクラする。
この時間が永遠に続いて欲しいと、心から願ってしまう。
もし、隼人さんが詐欺師なら、私は思いっきり騙される自信がある。
それ位、言葉ひとつに威力があって、そのぬくもりは、私をふわふわした夢見心地にさせる。
「隼人さんこそ、私でいいんですか?」
頭に浮かぶのは社長の事。
だけど隼人さんは、抱きしめた腕にぎゅっと力を込めて言ったんだ。
「俺は、優衣ちゃんがいいんだ。」