ほら、笑って笑って
隼人さんがそっと私の両頬に手のひらを添えて、瞳を覗き込むから。
ドキドキして――喉元まで出ていた言葉が、消えて無くなってしまう。
それから、これでもかって位の甘さを持った瞳の隼人さんは、極上の笑顔で囁いた。
「俺の仕事を、手伝ってくれないかな?」
「……え?」
「動機は不純だけど、なるべく側にいて欲しい。」
「隼人さん…」
「無理強いはしない。でも出来る限り、ここに来て欲しい。」
その表情を見れば、冗談なんかじゃなくて、真剣なのは伝わってくる。
それ程まで思われているのがただ嬉しくて、返事の代わりに隼人さんに抱きついた。
ケーキ屋のバイト減らさなくちゃ、なんて能天気な悩みを抱えて。
当たり前だけど、その真意を、深くなんて考えてなかった。