ほら、笑って笑って
「あの、隼人さん?私を撮るくらいなら……ほら、この綺麗な雪でも撮った方が全然ましですよ?」
自分に向けられるカメラに弱冠顔をひきつらせながら、何とか言葉を選び隼人さんの気を逸らそうとするけど。
彼は何枚も何枚も撮り続けている。
「あのさ、俺は今……撮りたいから撮ってる。」
「え?」
カシャカシャ
と、相変わらずシャッターを切る音は止まない。
「優衣が撮りたい。」
「……」
隼人さんは、夢中になってカメラを構えているのに。
その口からつむぎだされる言葉は、甘い台詞。
私が見たいと願っていた真剣な表情で、私の胸をときめかせて、きゅーっと締め付けて苦しくさせる。
「雪もいいけど、目の前にいる優衣が、今一番撮りたいものだから。」
きっと隼人さんは、
私をときめかせて夢中にさせている事なんて、気付いていない。