ほら、笑って笑って

「も…もう、いいです。私も、周りの迷惑とか考えてなかったし」


恥ずかしくてしどろもどろになりながら、とにかくこの場から逃げ出したくて。ご迷惑おかけしましたって、一言伝えてから立ち上がろうとしたのに。



「あのさ、俺でよければ、話聞くよ?」


なんて言いながら、その彼は私の腕を掴んだ。


ひぃぃぃーーー!!

ちょっと!!
イケメンじゃなかったらただの変質者だよ!?

お願いだから素直に帰らして!!


「でも、私かなり恥ずかしい事をしてた自覚が出てきましたので……これ以上ここにいたくないですし…」

一生懸命断ってるのに、私の腕は一向に解放される気配がない。


そして彼は、少しの沈黙の後に口を開いた。



「じゃあ、こうしない?
俺も失礼な事したし、何かお詫びがしたいから……コーヒーでも飲みに行こう。」


「…は?」


「そしたら、さっき撮った写真もその場で削除する。――どう?ナンパだと思ってよ。」



はい???

何言ってるんですか??




< 14 / 304 >

この作品をシェア

pagetop