ほら、笑って笑って
「――じゃあ最近働き始めた所の方?」
「うん。だけど、付き合う様になってから隼人さんの手伝いを始めたんだよ?頼まれたから。あ、だからね、パン屋のバイトは減らしたの。」
「そう。」
お母さんは何だか嬉しそうな顔をして、私の話を聞いていた。
そんなお母さんを見ていたら、くすぐったい気持ちになって、恥ずかしくなる。
「こんな事話すのは本当は恥ずかしかったんだけど、隼人さんが"ご家族に紹介して欲しい"って言うから…」
なんて、ついつい誤魔化してしまう。
そうしたらお母さんは余計に嬉しそうになって、
「いいわね、真面目で素敵じゃない。優衣の事、真剣に思ってくれてるって事よ。…良かったわ、イイ人そうで。」
「…うん。」
お母さんに彼氏を誉められるって、嬉しいけど恥ずかしい…。
「とりあえず、お父さんにはお母さんから話しておくわ。隼人さんにはそれから 遊びに来て貰いましょう?」
「あ、うん。お願い…します。」
こうして、初めての"彼氏がいます報告"は 無事終了した。