ほら、笑って笑って


隼人さんの部屋。

ベッドでまどろむ私の頭を、優しく撫でる大きな手。


ちらっと隼人さんの顔を見ると、極上の笑顔と目があった。



「眠い?」

「…ちょっとだけ。」


いつもなら"もう少ししたら家に送るよ"
って言われる場面。


でも今日は違った。



「今日は泊まる?」


え?…嘘。



「いいの?」


「もちろん。但し、ちゃんとご家族に連絡する事。」


「は、はい!」





かなり、子供扱いされてるなぁ…と思うけど。

だけどそんな事よりも、お泊まり出来る事が嬉しくて。


眠気なんてすっかり消えて、はしゃいでしまう。



「あ!今すぐ電話してきます!」


慌ててベッドを飛び出すと




「優衣、やり直し。」

「……え?」



何をやり直し?

意味が分からなくて首を傾げる。



「今、敬語だったよ?」

「…あ!」



隼人さんは笑いながら私に近づき、額にキスをする。


「いつになったら慣れてくれるかな?」


と囁きながら。



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