ほら、笑って笑って
「そう?俺は慣れているから大丈夫。」
爽やか笑顔の隼人さんは、確かにいつも通り。
毎年の事なのかな?
「それよりも……」
「?」
「桜に間に合わないかもしれない……ごめん。優衣とお花見したかったけど、さすがに小田原まで行く暇は無さそうだ。」
隼人さんたら、私を見て申し訳なさそうな顔をして謝るから、恐縮してしまう。
そんなのわざわざ言われなくても、現状をみれば分かるし仕方ない事なのに。
だから、隼人さんが気を使わなくて済む様に、とびっきりの笑顔を浮かべた。
「いいの。私は毎日隼人さんといられるだけで幸せだから。桜は、また来年でも再来年でもいいから見に行こ?」
そう伝えると、隼人さんはほっとした様な表情を浮かべて私の頭を撫でた。
「ありがとう、優衣。」
近所の公園の桜は、もう沢山の蕾が膨らんでいた。
満開になったら、コンビニの帰りにちょっと立ち寄ろう。
隼人さんと一緒なら、どんな桜でも素敵に見えるはずだから。