ほら、笑って笑って


「あ、確かに。私、公園の桜を見に行こうって考えてた。」


「ああ。どの桜も一生懸命花を咲かせるから綺麗だよね。ただ、それだと毎年味わう程度の感動になる。」


「…?」



よく分からなくて言葉を失う。


すると、隼人さんはカメラから視線を外し直接私を見つめる。





「俺はね、感動して胸が一杯になっている優衣を撮りたかった。だから見慣れた桜よりも、ライトアップされて幻想的な雰囲気を醸し出しすこのしだれ桜を見せたかった。」




"優衣を撮りたかった。"



隼人さんのストレートな言葉は、私の胸をキュンキュンさせる。


嬉しいけど恥ずかしい。


だから、返す言葉が見つからない。


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