ほら、笑って笑って

隼人さんの顔を見れなくて、目線を足元に落とす。



カシャ

カシャ




「もう、こんな顔撮らないで。」


照れ隠しで呟くのに。




「こんな顔?――優衣は可愛いよ。」




さっきと同じ位威力のある言葉が、私の顔を熱くする。


真面目なのか、からかっているのか、声だけじゃ分からないけど。



カメラマンだから声かけが上手いんだ。なんて考えて、無理矢理自分を納得させた。





「優衣?こっち見て。」


「優衣、笑って、笑って。」






隼人さんは終始こんな調子で、恥ずかしがる私を無視して、沢山シャッターを切っていた。

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