ほら、笑って笑って
ピンポーン
チャイムと共に声が聞こえる。
「――隼人?いる?」
エントランスのインターホンに、お客様が映っていて。
慌てて確認して、通話ボタンを押す。
「すみません、隼人さんは今出掛けています。」
「あら、そう?…じゃあ、とりあえずお邪魔してもいいかしら?」
「はい。今開けます。」
エントランスの自動ドアを開けて、社長を招き入れた。
隼人さんの事務所で働く様になってから、社長とは度々顔を合わせる。
初めは気まずかったけど、だんだん慣れてきた。
というよりは、社長が気さくに接してくれるおかげで普通にしていられる。
浮気相手だった私を、今は、弟の彼女として認めてくれている社長には、心から感謝している。