ほら、笑って笑って
二人のやり取りを黙って眺めていたら、彼がそんな私に気が付いて振り返った。
「どうした?座りなよ。」
サラっとそう言うと、慣れた手つきでカメラの画像を確認し出した。
あ!!私の写真!
慌てて彼の隣に座り、液晶画面に写る画像を覗き込む。
「わぁ…。」
彼が動かす度に画像は替わっていくけど、そのどれもが、素人には撮れない様な物だった。
春を感じる桜の写真は、背景に桜並木をぼかしながら写し、右側から真ん中にかけて、ひとつの桜の花をピントを合わせアップでおさめている。
また、さっきの公園の噴水や、子供達が遊んでいたシャボン玉が、陽射しを浴びてキラキラと輝いている物。
そして、楽しそうにはしゃぐ子供達を写した写真。
自称じゃない。
この人は本当にカメラマンで、本当に撮る事が好きなのだと、その写真達を見ただけで容易に理解出来た。