ほら、笑って笑って


私の言葉を聞いて、一瞬だけど…社長の動きが止まって。


やっぱり知っているんだと確信する。




「ゆうかって、優しい花の優花?」



社長は私を見ないままそう言葉を落とす。


「そうです。写真があって、その…とても気になって。」


「そう…」




ぽつりと呟いて、社長はコーヒーに口をつける。


私も黙ってその動作を眺めていた。

ううん。


内心ドキドキしながら、次の言葉を待っていた。




「…写真が有ったの?」


「はい。」


「似てたでしょ?」




社長は、今度は真っ直ぐに私の目を見て言った。



「…私に、ですよね?正直自分では分かりませんけど。でも、私の母に似てると思いました。」



「…そうね。確かに自分じゃ分からないかもしれないわね。」





少し困った様な表情の社長は、そのまま黙ってしまった。
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