ほら、笑って笑って
私の謝罪の言葉を聞いて、隼人さんは悲しそうな顔をする。
「…ごめんなさい。」
謝っても許して貰えないのかもしれない。
でも必死で気持ちを伝えた。
「本当に、ごめんなさい。」
自分が悪いのに、鼻がツーンとして涙が零れそうになる。
泣いちゃダメ!
そう自分に言い聞かせる。
「――いや、写真を見た事を怒っているわけじゃないよ。」
「…え?」
運転席から聞こえたのは、予想外の台詞。
「ただ、誤解を招くのが嫌だから…話さないつもりでいたんだ。」
「…誤解?」
「ああ。」
隼人さんは相槌を打つだけで、また前を向いてしまった。
でもその横顔は、次の言葉を探しているみたいだったから。
私も黙って待っていた。