ほら、笑って笑って
隼人さんは下積みの真っ最中で、日々忙しくも充実していた。
同じ頃、優花さんもタレントとしての道を歩き始める。
何もかも順調に進んでいる、はずだった。
『隼人君!?優花が…』
仕事帰り、隼人さんの携帯に優花さんのお母さんから連絡が入った。
『私達もすぐに行くから、先に行ってあげてくれる?』
『分かりました。先に向かいます。』
通話を切って、落ち着け、落ち着け…と自分に言い聞かせる。
優花のご両親は、優花が体調不良を訴え入院する事になったと、所属事務所から連絡を受けたらしい。
隼人自身、連日のハードスケジュールで疲れていたはずなのに、必死で走って大通りに出る。
それからタクシーを停めて病院の名前を告げた。