ほら、笑って笑って


―――――――
―――――




そんな風に、二人きりの車内で、隼人さんは語ってくれた。


聞いていた私まで、涙が出てしまう。




二人は愛し合っていたのに。

優花さんさえ元気なら、今も夫婦だったはずなのに。


ドラマの様な悲恋を聞かされて、隼人さんに声をかける事も出来ず、ただ黙っていた。






「…優花は亡くなった。」


しばらくしてから、狭い車内に、隼人さんの声が響いて。

瞳にたまっていた涙がこぼれた。



「…その原因は俺なんだ。」

「…え?」



言葉の意味が理解出来ず、思わず隼人を見つめる。


だって、優花さんは病気で…。



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