ほら、笑って笑って




車に乗り込んでから、一時間程経った。

でも、まだ目的地には着かないらしく、隼人さんはハンドルを握り続ける。




窓の外は、私の知らない景色。


見たことのない場所が延々と続いていた。





「…あの、隼人さん?どこに向かっているの?」


「――ああ!そう言えば説明してなかったな。」



私の言葉を聞いて、隼人さんは申し訳なさそうな顔で苦笑いをした。



「ちょっと、報告に行く。」


「報告?」



今度は優しくて柔らかい笑顔を浮かべ、隼人さんは言葉を落とす。






「…そう……優花に。」




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