ほら、笑って笑って



霊園の駐車場に車を停めて、二人並んで歩き出す。





「優花が亡くなって何度もここに来た。でも、誰かと一緒に来たのは初めてかな?」



隼人さんは、何だかぎこちない笑顔を浮かべる。



「……隼人さん、大丈夫?」



そう訊ねると、私の手を取り歩き続ける。




「…情けないな。」


「…え?」


「優衣に説明しようと考えて、勝手にここに連れて来たくせに心配かけるなんて。俺バカだな。」




隼人さんの口からぽつりと零れた言葉。


それは、私の胸を締め付ける。




「自分で決めたのに……たとえ墓でもさ、優花に紹介するっていうのはおかしな気がして…変な緊張してきた。」




山の涼しい風が私達の間を吹き抜けて、半袖一枚の私を身震いさせる。


そんな私を見て、隼人さんはそっと身を寄せ肩を抱いてくれた。





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