ほら、笑って笑って


「優花の命日は4月で、その時にもこうして墓参りに来て、優衣の事を伝えた。」




私に話しかけながらも、真っ直ぐに優花さんの墓を見つめる隼人さん。




優花さんに語りかけているの?


亡くなってしまった奥様に、私の事を話してくれてるの?






だけどその光景は、どうしようもなく私の胸を苦しくさせた。




私に会うまで10年位、ずっと、ずっと、優花さんを想って、忘れられなくて。

一人でここまで来て、話しかけていたのかな?


それから、やりきれない後悔の気持ちを抱えて、自分を責めてきたの?







優花さんを失ってからの隼人さんの苦しさを想像したら、私までやりきれない気持ちで一杯になって。

静かに、涙が頬を伝った。










優花さん。


どうか私に、隼人さんを――

守らせて下さい。



出来る限り、幸せにしてあげたい。





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