ほら、笑って笑って
「美味しい。」
コーヒーの香ばしい苦味が少しと口に入れた時のまろやかさ。
酸味も無くて、私が好きな味。
「良かった、お口に合ったみたいだね。」
がたいのいいマスターは、その体格に似合わない、スマートで優しい声でそう言うと、目を細めて微笑む。
「はい、とても。私この味好きです。」
だって、お世辞じゃなくて本当に美味しい。
「だろ?気に入ってくれて良かったよ。」
カメラをいじっていた彼も、隣で微笑んでいた。