ほら、笑って笑って
そこには。
真っ青な顔で気を失っているお母さんと
そんなお母さんを抱き起こそうとしているお父さんがいて。
「…お母さん?!」
一瞬、何が起こったのか分からなかった。
「優衣、すぐに救急車呼んで。」
隼人さんはそう言って私の肩を叩く。
「あ、はい!」
会場内がざわついて、お客様とか報道陣とか、皆が心配そうにお母さんを見つめている。
落ち着いて、落ち着いて。
自分に言い聞かせながら119にダイヤルする。
嫌な汗が、首筋に流れた。