ほら、笑って笑って
「そういえば、夕飯の買い物まだだったわね。お父さん、途中でスーパーに寄ってくれる?」
帰りの車内でお母さんがぽつりとそんな事を呟くから、思わずため息が出てしまう。
貧血起こして救急搬送されたのに、夕飯の仕度をするつもりなの?
呆れちゃう。
「ねぇお母さん、夕飯はお弁当買って帰ろ?」
「え?でも…」
「でもじゃなくて、今日明日はお母さんは何もしなくていいから。私ね、明日も隼人さんに休み貰ったから。スーパーは明日私が行くよ。」
そうお母さんに説明すると、運転しながらお父さんが頷く。
「そうか、優衣がいるなら良かった。父さんも明日会社休めるか考えてたところだが、それなら優衣に任せるか。」
「ちょっと嫌だわ。二人共大袈裟なんだから。もう大丈夫なのに」
お母さんは苦笑いを浮かべながらも、嬉しそうに見えた。