ほら、笑って笑って




「――優衣…いつからそこに、いたの?」



明らかに動揺しているお母さんは、震える声で訊ねてくる。



……いつからって…。



何だろう。

何だか嫌な空気がして、逃げ出したくなってしまう。


ゴクンと息を飲む。



「――今、部屋から来たとこだよ?」




私の答を聞いても、お父さんもお母さんも目配せをしただけで黙り込んだまま。


そんな二人の表情を見てるだけで、私まで緊張してしまう。




「本当にどうしたの?」




もう一度聞いても、二人の口から言葉は出てこない。


どうやら、私に聞かれたくない話をしていたのは間違いなさそうで。



いつからいたのか聞いてくるって事は、立ち聞きしていなかったかを確かめてるのかもしれない。


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