ほら、笑って笑って


「――私に、何か聞かれたくない話でもしてたの?」




聞きながら、声が震えた。



だって、こんな顔をした両親を、今まで見たことが無くて。


ずっとずっと仲のいい家族だったから、今まで反抗もした事が無かった。




なのに――。






私には話したくない事?


それはつまり、私に関係がある事?



他愛もない話なら、笑って誤魔化して終るのに。


今の二人はそんな事すら出来ないみたい。









胸がドクン、ドクンと嫌な音をたてる。


握り締めた手がズキズキと傷み出す。







もう一度問いただそうと口を開いた時、




「…優衣には、話すべきよね…」




力のない声で、お母さんがそう呟いた。


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