ほら、笑って笑って
「お母さんね、昨日までずっと忘れてたけど…隼人さんの事、知っていたの。」
「……え?」
…隼人さん?
「優衣が隼人さんと知り合う前に、会った……ううん、一方的に見たの。」
お母さんはとても深刻な顔をして、真っ直ぐに私を見つめる。
その口からなかなか続きが出て来ないけど、急かす事が出来なかった。
何だか聞くのが恐かった。
どうして隼人さんの名前が出たのか、嫌な予感しかしなくて。
出来れば耳を塞ぎたいと思ってしまう。
「――…優花のお通夜で…」
ほら。
どうしてなのか、こんな予感は的中しかしない。