ほら、笑って笑って











「優花の事を、優衣に話す日が来るなんて……夢にも思わなかった。」




悲しそうな顔のお母さん。

何だか今にも泣き出しそう。




大丈夫?って言ってあげたいけど、私の頭はまだ上手く回っていないから。


思った通りの言葉が口から出てこないでいる。




だから私は、お父さんが入れてくれた麦茶を口に含んだ。


コクンと飲み込むと、喉がすーっと冷たくなる。





落ち着いて、落ち着いて…。



自分に言い聞かせて、ゆっくりお母さんと視線を合わせた。






「――優衣が、聞きたくないなら、話さないけど……」



「……私は、知りたい――だから、聞かせて?」






お母さんの秘密を教えて貰う。


だけど、ただそれだけじゃなくて。


出来れば聞きたくない話なのかもしれない。





それでも、私は………。






隼人さんが愛した、優花さんの事が知りたかった。




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