ほら、笑って笑って
話しているうちに、常務に対する思いが甦って来て泣きたくなった。
そんなやり場のない気持ちを落ち着かせる為、話し終えた私は、すっかり冷めてしまったコーヒーを喉に流し込んだ。
「そっかぁ……」
私達以外に客のいない店内はとても静かで、彼の相槌がよく響いた。
そっかぁ……か。
私が泣いていた理由が分かって納得したから出た言葉?
黙って彼を見ると、彼は真っすぐ前を向いたまま言った。
「良かったな。」
………って。