ほら、笑って笑って


リビングに一人残された後、ため息がこぼれた。




私は、どうしたらいい?




私は、お母さんに何かしてあげられる?







「…優衣。」


呼ばれて振り返ると、複雑な顔をしたお父さんが立っていた。



「お母さん、大丈夫?」


「ああ、多分な……。」


そう呟いて、お父さんは黙ってしまう。


だけどその表情は、私に何かを伝え様としていた。




重い空気が流れるリビングだった。




言われなくても、わかる。



「お父さん私ねーー」


自分から切り出そうとした時、お父さんの真剣な視線とぶつかった。



「お母さんが昨日倒れた理由は、もう分かるな?」




ーー頷くしかなかった。


個展で優花さんの話を聞いて、隼人さんの事を思い出した。


お母さんはショックを受けたんだ。





優花さんの夫であった隼人さんが、今は私と付き合っている事に。



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