ほら、笑って笑って




今日も日差しが強い。


アスファルトからの照り返しが容赦無く襲ってきて、頭がクラクラする。



うなじから流れる汗をタオルで拭いながら、駅前のビルに逃げ込んだ。





「…ふぅ。」



快適な温度を肌で感じて、思わず安堵の息をつく。






目線の先に、色とりどりの花が見えた。



花屋に並ぶ切り花は、涼しい室内のおかげで活き活きとしていた。



たくさんの花の中から、隼人さんならどれを選ぶだろう?


でもどの花だって、私の目で見るより、隼人さんのファインダーを通して見た方がより一層輝いて咲き誇る。



きっと素敵な一枚を写すはず。





そんな事を考えていた。







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