ほら、笑って笑って
小峠さんの家は、霊園から車で10分程の場所にあった。
閑静な住宅街?
それにしても静か。
周りに建つ家々も、広い土地に立派な庭付きの屋敷が並んでいた。
「すごく立派な家ですね。」
車を降り、真っ白な洋館を見て感動してしまう。
「周りもお屋敷だらけだし」
そう呟くと、小峠さんは微笑む。
「周りのお屋敷は全部別荘よ。ここは避暑地だから立派な家ばかり建っているけれど、普段は怖い位静かで寂しい所よ。ほとんど人は住んでいないし。」
その言葉を聞いて、お母さんの事を思い出す。
何処だか分からない場所に連れて行かれたと……
この辺りの事?
想像しただけで、身震いしてしまう。
お母さん、お母さん。
怖い位静かな場所だって。
そして本当に、お母さんにとっては、怖い思いをした場所なんだね。