ほら、笑って笑って
「……優衣は何も悪くないのに、こんなに悩ませて。…ごめんね、ごめんね…」
お母さんは何かの呪文の様に、ごめんねを繰り返した。
本当に申し訳なさそうな顔をして。
もしかして…
「…ねぇお母さん?………小峠さんから連絡あったの?」
会社に行くと嘘をついた手前、自分からは切り出しにくかったけど。
お母さんのこの表情を見る限り、そうとしか思えなかった。
だけどお母さんは質問には答えてくれず
波をポロポロこぼしながら、私を優しく抱き締める。
子供の頃と違って今は私の方が背が高いのに、私より小さくて華奢なお母さんなのに。
その温もりがあたたかかった。
お母さんの私を思う気持ちが伝わってきて、堪らなくなる。
伝染するかの様に、私の瞳からも透明な雫が流れた。