ほら、笑って笑って
「だ、大丈夫ですよ。私こそ、隼人さんに迎えに来て貰って迷惑かけてしまって…」
突然の事に動揺してしどろもどろになってしまう
本当ならこの手をちゃんと繋ぎ直したい
何なら抱きついてしまいたい
でも、今ーー
私達は距離を置いている状態なわけで
頭の中でぐるぐる色んな考えが駆け巡り心拍数が上がる
「優衣?俺、敬語は嫌だな」
「え?」
「確かに距離を置こうと提案したのは俺だけど、また優衣が敬語に戻って、それがかなりよそよそしく感じて、正直辛い」
「それはその、何となくそうなってしまって」
「じゃあ元に戻してくれるかな?」
隼人さんは笑いながら私の耳元で囁いた
「隼人さん?!私達は今距離を置いているはず、そんな事されたら動揺しちゃう」
隼人さんの行動の意図がわからない
繋いだ手から体温が伝わり身体が熱くなる
隼人さんの息がかかった右耳も熱を帯びて赤くなる