ほら、笑って笑って

ーーカシャ

至近距離から聞き慣れた音がする
どんな時でも隼人さんはシャッターを切る


「隼人さん、もう…」
「優衣、笑って。せっかくの可愛い顔が台無し」

私の抗議なんてお構いなしで
隼人さんはカメラを離す事はない

もう、本当に。
車の中では突然手を繋いできたり
こんなステキな場所に連れてきたりして
隼人さんは一体何がしたいのか?

少なくとも、まだ私に好意を抱いてくれてる事は確かだと思うけど

隼人さんを見つめながらそんな事を考えていた

「優衣?俺はやっぱり優衣と一緒にいたい。」

隼人さんの口から落ちた言葉は、いとも容易く私の思考回路を停止させる

「隼人さん…」

「優衣のお母さんの事を考えると別れも検討した方がいいのかとか色々考えたけど、無理だ。」

辺りは暗くて星空の明るさしか感じない
だけど隼人さんの表情がよく分かる

隼人さんは真剣な表情で私を真っ直ぐに見つめてくる

そして私もーー

そんな隼人さんの瞳に捉えられ
隼人さんから目を離す事ができない
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