ほら、笑って笑って

「…え?がん?」


頭が真っ白になる

聞かなくちゃいけない事が山程あるはずなのに、言葉が上手く出てこない

がんって…癌だよね?

「お母さん?それは…治るの?」

病気についてあまりに無知な私は、何をどう聞けばいいのかすら分からない

でもお母さんの深刻な表情を見ていると、まるで治らない病気の様な気がして…


「あの、看護師さん?先程治療方針と言われましたが、母のがんは完治するものですよね?方針も何も、治して再発とかしない様にして頂きたいーー」

「優衣」

私の名前を呼ぶお母さんの声はいつもより全然か細くて、消えてしまいそうな、いなくなってしまいそうな、そんな不安にかられる
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