ほら、笑って笑って
「生姜焼きとハンバーグと焼売があるけど、どれがいい?」

震える手を隠す様に明るい声で話す

「父さんは焼売がいいな」
「私はいいから、優衣先に決めて」

いつも通りの他愛のない会話
3人で囲む食卓
いつも通りーー


いつまで……続けられるのかな?


食後のお茶を飲みながら
お母さんは一度深呼吸をした




「お父さん、大事な話があるの」



今日医者から言われた事を
お母さんは震える声で、でもしっかり伝えていた

ただ黙って聞いている私の頬には涙が伝う




お父さんの表情はみるみるうちに硬くなった
お母さんと私に色々質問してくるけど、頭の中が混乱してるのが容易に伝わってくる

私も同じだから
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