ほら、笑って笑って


「え?」

「お母さんなりに色々調べたのよ。今は、家族に見守られて最後は自宅でなんて希望する人もいるみたいだけど、2人とも仕事があるでしょ?
お母さんもギリギリまで家にいたいけど、もし自分で動けなくなったら…そんな迷惑…かけられないじゃない?」


話しながら、お母さんの声は消え入りそうな位小さくなっていく

涙を堪えているのが容易に伝わる



「優子」

そんなお母さんをお父さんが抱き締めて

ああ、やっぱりうちの両親は仲良しだな…
なんて、今考えなくてもいい事を思ってしまう

そして私は泣き顔を隠す為に2人から目を逸らす



"最後は病院でいいと思うの"


お母さんの言葉が頭の中で繰り返される


何が正解?
私はどうしたらいい?

今、お母さんにどんな言葉をかけたらいいのかさえ、全く分からない
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