ほら、笑って笑って
だけどそんな私の幸せなんて簡単に崩れる。
無情にも、背後から聞こえる自動ドアの開く音。
――ああ。
お客様が来ちゃった……。
今日のお土産もなしかぁ。
内心かなり凹みつつ、レジの現金を数えるのを止め、お客様の方を振り返る。
「…いらっしゃっ……」
その顔を見た途端、言葉が最後まで続かなかった。
血の気が引いて、嫌な汗が出てくる。
……どうしよう。
どうしたらいい?
でも、本人はまだ、私に気が付いていないみたいで、ガラスケースの中を眺めている。