ほら、笑って笑って

一生懸命自分に言い聞かせる。


「…う…うっ…」


ギュッと目をつぶり堪えるけど、涙はまぶたの隙間から流れ落ちた。


「…うわぁぁぁぁん――」


もう駄目！

我慢出来ないよ！


ここは公園で、今はまだ午前11時で、目の前には噴水と、その水を飲む鳥、穏やかな春の陽射し。

その周りでたわむれる子供と、その光景を微笑ましく見守るお母さん。



失恋して泣き崩れる女が似合わない場所だって、十分分かってるけど。


でも止まらない。

涙も嗚咽も止められない。


――だって、やっぱり、好きだったもん。


彼の愛を疑わなかった、ただ信じてた。


こんな状況になっても、彼の笑顔とかを思い出す位、好きだったんだもん――！