ほら、笑って笑って

「あの、私……すみません!!」



咄嗟に謝ってしまった。


だって、常務と不倫関係にあったのが私だけじゃないとしても、それでも私だって原因のひとつのはず。



頭には、社内新聞の写真が浮かんでくる。

私のせいで、あんなに幸せそうな夫婦を別れさせてしまった。


それに生まれたばかりの二人の赤ちゃんは、父親のいない子になってしまって……。






私、最低。


「社長……本当に、申し訳ありません。」



下げたままの頭をあげる事も出来なくて、ただ何度も呟いた。


謝って許して貰える事ではないけど、それでも。


そうせずにはいられなかった。



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