ほら、笑って笑って
社長には、一生かかってでも償いをしなくてはダメだ。
ケーキの箱をラッピングしながら考えていた。
私の話なんて聞きたくないだろうけど、それでも、逃げるわけにはいかないから。
ちゃんと向き合わなくちゃ。
「…お待たせ致しました。」
「ありがとう、おいくら?」
ケーキを受け取りながら尋ねた社長に、私は首を横に振る。
「私が払っておきます。…ですから、お代は結構です。」
すると、社長は驚いたような声を出す。
「ちょっと、高原さん?あなた――」
「分かっています。こんな事位で、償いにはならない。でも、これから、一生かけてでも社長には償っていきますから……」