ほら、笑って笑って


「いらっしゃい。」


マスターは入り口を向いて声をかける。




心臓がドキンドキンして、一気に緊張感が漂う。



カツカツと、足音がこちらに近づいて来て分かった。



「お待たせ、高原さん。」


社長が来たんだと。



覚悟を決めてゆっくり振り返る。



「――こんにちは。」



とりあえず挨拶をした。


というより、他に何を言えばいいか思いつかなかった。


< 81 / 304 >

この作品をシェア

pagetop