ほら、笑って笑って
「もう、頭の中は真っ白になったわ。気づいたら、彼女に退職を勧めてた。
大事な社員なのに、自分の感情だけでクビにしてしまったの。最低だと分かっていたのに、やらずにはいられなかった。」
聞いていて、胸が詰まってくる。
社長は何も悪くないのに。
私や川野先輩が社長を苦しめたのに。
最低なんて、自分を責める事無いのに。
でも、何も言えなくて……ただ首を横に振った。
そんな私を見て、社長はまた悲しそうに微笑む。
「その後浮気調査を依頼したわ。やっぱり、女としての私がこのまま黙っていられなかったから。
結果、分かる?」
「…え?」
「驚きも怒りも通り越して、ただ呆れ果てたわ。」
「……」
「私が依頼した時点で、多分あなたとは別れていたのね?高原さんの名前は無かったけど……。
――…8人よ?」
「――は…ち?」
「正確には、あなたを入れると9人になるわね。」