ほら、笑って笑って
…え?
私を入れて9人って…まさか…?
社長は私の表情を確認した後、ふっと笑ってから口を開く。
「まさかって思った?――そう、そのまさかよ。あなたを含めて9人もいたのよ、愛人が。――…しかも、全員社内恋愛。」
――…うそ…。
私と川野先輩以外に、そんなにいたの?
しかも、社内に?!
全然気付かなかった。
「――…ね、ただただ呆れ返るでしょ?」
「……」
「…いいのよ、正直に言ってくれて。だって顔に書いてあるわよ?"うそみたい、信じられない"って――
凄いわよね、あの人。
私も騙されてたけど、川野さんだって他の女の子達だって、あなただって……見事に騙していたんだから。」
社長は、そんな事を言いながらクスクスと笑った。