ほら、笑って笑って
本当の理由
「これは、お二人に僕からのサービスです。」
そんな言葉と共に、突然目の前に出されたのはガトーショコラ。
まるで私達の話が一段階するのを待っていたみたいに、抜群のタイミングだった。
「あ…ありがとうございます。」
やっぱり話聞かれてたのかな…。
そんな不安が頭を過ぎり、たどたどしくお礼を言う。
だけど美味しそうなガトーショコラを見ると、嬉しくて口元が緩んでしまう。
そんな私を見て、マスターはにっこり笑ってくれた。
「手作りだからお口に合うか分からないけど。」
「!?え…!?もしかしてマスターが作ったんですか?」
私の素っ頓狂な声を聞いて、隣の社長がクスクスと笑う。
「この人ね、こんな見た目だけどスイーツ作りが趣味なのよ。意外でしょ?」