ほら、笑って笑って
「本当に失礼ですね、二宮先輩。こんな見た目はないですよ?」
マスターは苦笑いを浮かべながら呟く。
「先輩、なんですか?」
つい、社長の方を見ながら尋ねてしまった。
「ええ、彼は弟の同級生でね。私達姉弟と中学が一緒だったの。」
だけど、社長は嫌な顔ひとつせずに答えてくれた。
あんな話をしたばかりなのに。
こんなに普通に会話をしてくれるなんて。
見た目だけじゃなく、中身も本当に素敵な女性。
そんな風に感動しながら、ガトーショコラを口に運んでいた。
すると、隣の社長がぽつりと呟いた。
「――ねぇ、高原さん?まだ時間あるかしら?」