ほら、笑って笑って
時間?
今日は特に予定は入っていないけど……どうしてだろう?
疑問に思いながらも、尋ねるのも引け目を感じて……。
「――…大丈夫です。」
気が付けば笑顔まで作って答えてしまった。
だけど仕方ないよね。
きっと私、この人には一生頭が上がらないと思う。
私の返事を聞いたからなのか、社長はなんだか嬉しそうに微笑んだ。
そして、目の前のガトーショコラをフォークで切りながら、囁く様に言葉を落とす。
「高原さんに――…聞いて欲しい事があるの。」