ほら、笑って笑って
「あなたの写真を見たの。」
「…え?」
どうやって説明しようか考えていたのに、社長の口から聞こえたのは全く予想外の言葉だった。
そして、ぽかんとする私の方は見ないまま、社長は言葉を続ける。
「私、姉弟だからかしら、隼人の撮る写真が好きでたまに見せて貰うの。
あ…。
もちろんうちの商品も全部隼人に撮って貰ってるのよ?我社の専属カメラマンだし。」
「……」
「あの子は…普段からカメラを持ち歩いていて、被写体とか風景とか沢山撮影してるの。その中から、気に入った写真を現像してるの。
――でね、その中に、あなたがいたわ。」
「…私、ですか?」
思わず首を傾げてしまう。
だって、初対面の時確かに撮られたけど、データは削除してくれたはず。
「あの…社長?私は覚えが無いんですが、どんな写真ですか?」