ほら、笑って笑って

「あの…」


聞くと言われても、まさか今、電話しちゃうとか?

それとも…ここに来るとか?


想定外過ぎて、軽くパニックになってしまう。



そして、一人わたわたする私を見て、社長はまたくすりと笑う。


「今ね、隼人に息子を預けているの。だから、もうすぐここに連れて来る事になってる。

もう少し、待っていてくれる?」



!!!!


そんな!

ありえない!

どの面下げて隼人さんに会えばいいの?


無理、無理、絶対に無理!!






ガタン!!

と、派手な音を立てて椅子から立ち上がる。



その音に、社長もマスターも驚いたらしく(当然だけど…)私の方を見ている。



だけど取り繕う時間は無い!!

急いでこの店から出なくちゃ!



「あの、申し訳ありませんが私……隼人さんに会うのは出来ません!」


そのままの勢いで、ガバッと頭を下げて叫んだ。



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